ともも人物図 【家じまいアドバイザー 屋宜 明彦】終活 元気なうちに話し合って整理しよう(182号)
4年前に、一般社団法人心結と、株式会社スリーマインドを設立された屋宜明彦さん。4年間で名刺を交わした方は約4600人。「元気なうちに整理しましょう」と、とにかく終活の必要性、またその仕方についての講演活動に東奔西走。そんな屋宜さんに仕事への想いを伺ってみました。
■「元間整理」という言葉は?
元気な間にという意味で「元間整理」と名付けました。遺品整理の現場に立ち会うと、家族同士で話し合っていないことがよく分かります。人生の棚卸しをして意思表示をしておくと、本人も遺される人も気持ちよく前に進むことができます。
■一人ではしにくい!
高齢になると、ものを捨てることに不安や葛藤がありますから、ご家族の方がお近くにいない場合は、ゴミが溜まってしまいそうならマンションの管理人の方や、ケアマネの方にお願いして手を借りることも必要です。ご家族の方がお手伝いできる盆や正月に気持ちを聞きながら一緒に片付けるのが一番いいですね。片付けるだけでバリアフリーになりますし。
■力を入れるセミナー開催の内容は?
生前整理を始めるきっかけになればと思って続けています。連続講座だと①御神体はどうするのか②大量のトイレットペーパーはなんでや ③いい業者かどうかは電話の対応でわかる④父さんがこけないか心配だから片付けようか⑤家族アルバムは平均してダンボール3箱分、⑥伴侶の死の際に考えてみよう。などのタイトルをつけています。写真の整理はお気に入りの写真を選んでアルバムを作り子どもたちに一冊ずつ渡し、後は捨てるというふうなアドバイスも。
整理が必要なのは「モノ」「心」「お金」です。死後事務手続きに必要なものはまとめておくこと。株や投資信託、不動産の登記簿など。貴金属で相続税対象となるものはどう処分するか決めておく。最近ではデジタル遺品もあり仮想通貨やキャッシュレス決済、パソコンデータなども処分しておきたいものです。そういったことを法律事務所の方やお片付けアドバイザーの方と一緒にお話させていただいています。
■この仕事を始めた動機は?
前職で新規プロジェクトに参加し遺品整理を立ち上げました。第一線で営業をして日本一の会社にしようと頑張りました。現場で人の考えや組織の現状を聞くにつれ、法的整備は曖昧、市民の認識もまちまちで、まずは「終活や家じまい」の必要性と、どのように進めれば良いのかを伝える活動が必要だと思いました。そのために独立して一般社団法人心結を立ちあげ、同時に納得のいく生前・遺品整理を手伝う株式会社スリーマインドをつくりました。
一般社団法人では他社も加わり業界の健全化、仕事の社会的地位の向上なども内容に入れています。最近立ち上がってきた業界なので、ルール化や法整備に一役買えるようにと考えています。
株式会社ではごみ処理と同様、閉鎖的な業界ですのでいい仕事をするためにも社員に自信をもたせることを第一に考え、スーツを着る機会やマナー研修、また父親の仕事のすばらしさを感じてもらうために家族会など実施しています。何ごとにも相手の気持を分かり合うには、直接のコミュニケーションが大事だと思います。
創業から4年間で名刺が4648枚、ニーズを聞き情報・知識の提供をしていく中から信用が生まれてきたと屋宜さん。終活もご家族間での話し合いが大切だと力説。SNSも利用して本当の気持ちを伝え生前の整理をしたいものですね。(武地)
◻プロフィール
1979年宝塚市生まれ、西宮市在住。2016年一般社団法人心結(しんゆう)代表理事、生前・遺品整理を行う株式会社スリーマインド代表取締役。終活・家じまいなどをテーマに年間100本以上の講演活動を展開している。沖縄エイサーの保存に尽力し、地域イベントを開催。
■株式会社スリーマインド TEL0120-967-022 http://3mind.jp/