「えびす福お面®」煎餅・開発秘話

「えびす福お面®」煎餅

割れば多くの福となる

「ありがたい戎さまのお顔を割れない」とか「お持ち帰りの途中でひびが入ってしまって残念」などの声が寄せられますが、このえびす福お面は、おもいっきり割っていただきたいのです。
割ればたくさんの福が生まれます。たくさんに割って、みなさんで分けて召し上がっていただきたいと思います。
それでこそ、えびすさまも大喜びなさいます。西宮神社の宮司様からも「福が体に入るから、食べると幸せになるでしょう」と、お墨付きをいただいております。

とももが企画・開発した商品「えびす福お面®」煎餅

この煎餅は、2008年に西宮中央商店街を「戎参道」として、潤いのある人の顔が見える「人形芝居のふるさと」づくりの一環として店主たちが取り組んだもので、とももが企画・開発を担当。私たちとしては、人形芝居「えびす座」の立ち上げ、同年6月の「戎座人形芝居館」の設立、それに続く企画でした。
「えびす福お面®」煎餅を開発することになった年のお正月、商店街理事の一人が土産にもらった伏見稲荷のキツネ煎餅をヒントに、「えべっさんの笑顔をお煎餅にして、福もらいはどうやろ？」と提案。早速、伏見稲荷神社の参道に視察に出かけると、土産店のほとんどで煎餅が並べられ、店頭で焼いている店舗もたくさん見かけ、見事に「お稲荷さんと一体化した土産物」として存在感あふれるものでした。これならば「えべっさんと一体化した土産物」も不可能ではないと信じ、研究を重ねたものの、商工会議所の担当者の方から「煎餅を焼く鋳型を造れる人はもういません」と言われ、一時は諦めかけました。

伏見稲荷神社の参道で売られている煎餅

しかし、諦めずにねばり強く情報を収集していると、2月の或る日、大阪市に食品製造の機械を作っている山田幸製作所さんを発見し、早速相談を持ちかけました。聞くと社長の山田さんは伏見稲荷の鉄型を作っておられた最後のお一人。山田さんは、「もう作る機会もないと思っていたが、えべっさんの顔ならわたしも最後の作品として作ってみたい」と一つ返事で受けてくれました。
西宮神社からえべっさんのお面（顔の参考として）をお借りし、さっそく鋳型の制作が始まりました。同年6月の西宮神社の「おこしや祭り」には、戎座人形芝居館もオープンの予定です。一緒にお煎餅が披露できるようにと、何度も何度も顔の型を変えて鋳型を作ります。そして鉄を打ちながら2ヵ月を経て鉄型が1丁完成したのです。続いて重さ4キロの特製鋳型が計5丁完成しました。

山田幸製作所の山田社長に金型製作を依頼

美味しい味作りは商店街のメンバーが試行錯誤。１丁4キロもある鉄型を返すにはコツがいります。この煎餅作りは、商店街で青果店を営む「マンダリ」の山本雅一さんが焼き手を担当。どこにもない味にしようと試行錯誤して「この味」に。「えべっさん参りの後は戎座人形芝館で楽しんで『えびす福お面®』をおみやげに福を持って帰ってほしい」と同商店街のみなさん。「えびす様のお面を食べて福を体に入れてください」と西宮神社のお墨付きもいただきました。
西宮のお土産品になることを願って、私たち（ともも）は「えびす福お面®」という商品名を考案し、商標登録しました。さらに、化粧箱ならびに包装紙のデザイン制作も担当。えべっさんの目出度いイメージを出すために、プロのイラストレータにイラストを描いてもらい、えびすさまに相応しいパッケージが完成しました。

安全な材料を使った手焼き煎餅です

食の安全が見直される今、「えびす福お面®」はすべて国産の材料を使用し、一枚一枚丁寧に手焼きしています。焼き上げた煎餅は、職人の手により周囲の焼片（焼いている最中に型からはみだした煎餅の周囲）をきれいに削り取って形を整えてから、商品としてお出しします。

「えびす福お面®」煎餅を焼く

これらの作業は、すべて手作業で行っているため、一枚の煎餅を商品として出すのに相当の時間がかかってしまいます。本来なら、こうした作業を機械化して自動で焼けば、効率良く大量生産も可能になりますが、あえてそうはいたしません。
季節ごとの外気温や湿度に応じて材料の配合や焼き具合を微妙に調整しながら、一枚一枚に心を込めたいと思います。
（製造元：マンダリ）