「えびすかき」再興を目指して【Vol.2】
戎座人形芝居館とまちづくり「くぐつプロジェクト」の立ち上げ
西宮の門前町として古くから栄えてきた西宮中央商店街は、1995年の阪神・淡路大震災で壊滅的な打撃を受け、約七割の店舗が全半壊し、200軒近くあった店舗も約60軒に激減してしまいました。
このまちににぎわいづくりと、失われつつある人と人とのつながりを取り戻すために、商店主たちが注目したのがこの西宮の「傀儡師」です。2005年には、商店主たちが中心になって「くぐつプロジェクト」を立ち上げて「兵庫県まちのにぎわいづくり一括助成事業」の助成を受け、空き店舗を改装して戎座人形芝居館を立ち上げました。
戎座人形芝居館のオープン初日(百人テープカットの様子)
戎座人形芝居館は、西宮中央商店街の一郭にあります。この場所で諸芸の始祖といわれる傀儡師に学び、日本の伝統芸能を学ぶ地域の人の居場所作りを始めたのです。そして2006年に同商店街の有志により「人形芝居えびす座」を結成し、西宮独自の人形操りを復活させようとしています。
2008年6月14日のえびすさまにちなんだ「おこしや祭り」の日に戎座人形芝居館はオープンし、人間国宝の文楽人形遣い吉田文雀氏に「人形芝居の源流」のお話をして戴き、その出発を祝いました。
こうして私たちは、西宮独自の「えびすかき」を復活させる長い旅の第一歩を歩み始めました。2009年3月には地域の民話「逆願大王」を人形芝居にしたり、文楽人形遣い吉田和生氏他による人形操りを学ぶ「えびすかき探求」を開始しています。そして同年12月20日に西宮神社で「えびすかき再興プロジェクト」の具体化を推進するために使用していた人形を神前に供え、境内にある百太夫社で人形芝居えびす座による「えびすかき えびす舞」を奉納しました。そして人形芝居発祥の地として肩からかけた箱廻しによる人形芝居の原型を探り復元することを始めました。
戎座人形芝居館
日常、戎座人形芝居館では、人形劇・紙芝居・マジック・狂言・生け花・手づくり広場・落語寄席・民族音楽・手作り広場・伝統独楽回し等を定例化して、親子や高齢者が集まれる居場所作りをしています。さらに地域の各行事と連動して様々な行事を行なっています。この取り組みをすることで人と人とのがつながれる街づくりを目指していくことを目指して活動していました。