ともも人物図 【チョコレート専門店ICHIJI代表  伊知地 恭兵さん】チョコレートでわくわくコミュニケーション(193号)

ともも人物図 【チョコレート専門店ICHIJI代表  伊知地 恭兵さん】チョコレートでわくわくコミュニケーション(193号)
ともも人物図
◎チョコレート専門店ICHIJI代表  伊知地 恭兵さん

◎チョコレート専門店ICHIJI代表  伊知地 恭兵さん

 「ICHIJI」をオープンして8年目。ビーン・トゥ・バーチョコレートの草分けとして芦屋に店を構えた伊知地さん。それぞれの生産地のカカオの香りを楽しめ、その国や作り手に想いを馳せます。このチョコレートで起業しようとしたいきさつなど、お話を伺ってみました。

■ビーン・トゥ・バーチョコレートとは?

カカオ豆本来の味わいや香りを楽しめるよう、チョコレートができるまでの全工程を自社工房で製造したものを言います。弊社は豆の仕入れ、選別、焙煎、粉砕、磨砕、調合、成形、パッケージングまですべて手作業です。

■伊知地さんが作るの?

今はお店のスタッフが協力してチームで作っています。友人の知り合いが東京で開いたチョコレート屋さんが大人気と聞いて見学に。ミルク無し、イチジクのような香りなのにイチジクは入っていないフルーティなチョコに衝撃的な感動を覚えました。チョコレートに関心をもったことがなかった私が、作り方を教えてもらいカカオの豆を購入して挑戦したのです。
自宅のオーブンでカカオ豆を煎り、皮を取り除いてからドロッとした液状になるまですり潰します。好みで砂糖をいれて冷やして固めて出来上がり。粗削りでしたがシンプルな味に家族も喜んでくれました。

■チョコレートで起業?

自分がこれはと思えることを事業化してみたいと思っていました。前職を社長と喧嘩して辞めてしまったので暫くフリーターでした。その期間に「自分は何がしたいのか」と自問自答。そんなある日、このチョコレートに出会ったのです。
手作りで店頭に並べられるような商品づくりができるか、まず量や味から難題が突き付けられました。未踏の分野なので日本に製造用の機械もなく、代用できるものを海外から取り寄せて調整。
味に関しては約半年間、毎日試作して各々の生産地にあったコクや香りを魅力的に出せるように温度や硬さなどを研究。工房が必要になりますので、腹をくくってこのチョコレートで起業しようと店舗を借り、寝食を忘れて商品づくりに没頭しました。

■26歳で資金は?

今、日本は起業する若者たちへの支援が手厚く、国庫で金利も安く保証人もいりません。審査は厳しいですが、しっかり計画書を書いてパスしました。残りは自己資金と両親からの援助です。

■どんな商品工夫を?

すべて70%以上のハイカカオチョコです。扱うカカオの産地はハイチ、トリニダード・トバコ、タンザニア、ガーナの4カ国。それぞれの個性が違います。
ホットチョコも自慢の一品。さっぱりした味わいですが飲むと満足感があります。今ではクッキーやテリーヌ、カカオ豆を使ったスパイスなどオリジナル商品もできるようになりましたし、日本酒や珈琲、お茶など異業種とのコラボレーションも。試食できますので違いのおもしろさを楽しんでほしいです。

■伊知地さんにとってカカオはどんな存在?

コミュニケーションですね。お客様やスタッフ、そして現地の人たちなど、カカオが紡いでくれる人間模様を楽しんでいます。そして笑顔で仕事ができる職場環境を整えていきたいと思っています。

JR芦屋駅の再開発事業により店の移転が決まり、阪神芦屋エリアを予定しているそう。ホットチョコなど飲みながら街を闊歩できるテイクアウトを充実させたいと伊知地さん。芦屋の街がまたお洒落になりますね。(武地)


◻プロフィール
1990年、兵庫県生まれ。 趣味は釣り、キャンプ、珈琲と鳥が大好き。株式会社伊知地を26歳で創業。代表取締役。
芦屋市業平町1-20 TEL0797-69-6388/FAX0797-69-6388/携帯090-1593-3370
https://ichiji.net/

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