共に生きる 木も虫も風も光も わたしたちも【ニコニコ桜今津灯(あかり)保育園】(184号)
共に生きる 木も虫も風も光も わたしたちも
「こどもたち 笑い走りてニコニコ桜保育園」と、詠ったのは初代理事長である故長部二郎氏。酒造会社大関の故11代長部文治郎社長(兄)と二人三脚で大関㈱を支えた元副社長です。保育園の創設を強く望み、2006年にニコニコ桜保育園を南郷町に創設しました。しかし、1年後に他界されたのです。
二郎氏の志を現理事長の長部俊弘さんや中西やすこ園長が受け継ぎ、「共に生きる木も虫も風も光もわたしたちも」という理念を掲げて、こどもを生きる権利を持つ主体として尊重すること、子どもの利益を最優先した保育を実践すること、養護と教育を中心に年齢や発達、個性を伸ばすことを目的にしています。
そして2018年に二郎氏が育った今津の地に「ニコニコ桜今津灯保育園」ができました。定員90名の認可保育園として0歳から5歳まで。病児保育もあり地域の家庭を応援しています。
園舎は大きな民家のような建物で中は広々。4歳以上は年齢ごとの壁を取り払い襖で間仕切り。歳の違う子どもたちも、みんなの顔が見える安心空間なのです。部屋を広く取ったことで園庭は屋上になりました。土をたっぷり入れて奥には子どもたちの基地にもなる今津灯台があり、いろんな広葉樹が植えられ、クローバーが元気に生えていました。畑にはたわわに麦や野菜が育ち、「収穫して給食につかいます」と保育士さん。
縁があってイタリアンシェフが作る給食は、子どもたちの味覚が育つようにと様々な食材が生かされ、「食べる喜びを感じてもらいたい」というシェフの気持ちが伝わります。所々にある牛乳パックで作られた〝ままごとのシンク、レンジ、おもちゃ入れ、本棚〟は、角がなくて安全と保育士さんたちが作った子どもたちへの贈り物。ロビーには大関のコモで作ったタペストリー、玄関には鯉のぼりなど日本の季節が感じられる子どもたち参加の大きな作品。ふるさとの伝統を暮らしの中で伝えたい想いが随所に。
取材した日には、園庭で収穫した麦の脱穀を一生懸命に。子どもたちの生き生きとした声が飛び交い、みんなの笑顔があふれるゆったりとした心持ちになる保育園でした。
社会福祉法人長陽会 ニコニコ桜今津灯保育園
西宮市今津水波町9-8 TEL0798-22-0034