高齢者とてんかん ⑤【つちやま内科クリニック 土山雅人(日本神経学会専門医)】(176号)

脳神経内科 つちやま内科クリニック
ヘルスコラム

 てんかんの症状は発作の最中と前後だけなので、診察時には特に異常がないことが一般的です。てんかんの診断で最も大事なことは発作時の様子を聞き取ることです。患者さん本人は発作時の記憶が無いので、どのような状態になったかは発作時にその場にいた人(家族など)から聞き出すしかありません。てんかんが疑われる場合の診察には発作時の様子をまとめてメモしていると役立ちます。また、スマートフォンなどで発作時の動画を撮ることも良いでしょう。
 その後、採血検査、脳波検査、画像検査(頭部CT、MRIなど)へと進みます。不整脈でも意識消失(失神)を起こすことがあるので、その鑑別のために心臓の検査(ホルター心電図など)も行われます。これらの結果を総合的に判断しててんかんの診断がくだされます。成人では最初のてんかん発作後5年以内の発作再発率は約35%で、てんかん発作を2回以上起こすと治療の対象になります。高齢者ではその再発率は66~99%と高いので、初回の発作でも治療の対象となります。
 神経内科、脳神経外科、精神科などでてんかんの診療が行われますが、これらの専門医でもすべてがてんかん診療のエキスパートとは限りません。てんかんの専門医は少なく、「てんかん外来」を持つ医療機関も限られています。てんかん診療の医療資源を有効に活用する仕組み作りが望まれます。

つちやま内科クリニック 土山雅人(日本神経学会専門医)
西宮市段上町1-1-22(甲東園駅東へ3分) TEL0798-57-3600
http://www.tutiyama-clinic.com

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