ともも人物図 【絵本作家・イラストレーター 宮本 明香さん】一緒に活動の輪を拡げよう!(186号)

ともも人物図 【絵本作家・イラストレーター 宮本 明香さん】一緒に活動の輪を拡げよう!(186号)
ともも人物図
◎宮本 明香さん

◎宮本 明香さん

阪急西宮ガーデンズにある「沿線コミュニティベーススタジモにしのみや」でこの秋開催された「私もできるプチ絵本コンサート♪Accor de Hon ! 体験」。参加者がつくった絵とおはなしを展示し、アコーディオンの即興と共にプロの朗読家に作品を読んでもらうという企画。主催者である絵本作家の宮本明香さんにお話を伺いました。

■Accor de Hon !(アコーデホン)って何ですか?

私やメンバーがつくった絵本の原画をギャラリーで展示しながらアコーディオンの即興演奏に合わせて読み聞かせを行っています。朗読家やギター奏者の方をゲストにコンサートを行ったりもしています。「絵本の読み聞かせ」と言うと、子ども対象のイメージが強いのですが、音楽の力と相まって大人の方にも感動していただけたことが印象的です。
絵本をつくっても出版社から商業流通しないものは知ってもらえるきっかけが少なく、またコロナ渦で発表の機会が激減してしまっていたので、アコーディオニストの中村さんと一緒にそういう人たちの発表の場づくりをしていけたらと、ユニットを組み活動を始めました。今回のワークショップは、普段私たちがしている活動を実際に体験してもらおうと企画したものです。

■宮本さんの作品にはゾウがよく登場しますね

高校生の頃、吹奏楽部でチューバを吹いていました。動物の謝肉祭「象」という曲をチューバソロで吹くことがあり、楽器1本でゾウという生き物をどう表現すればいいのか分からず、ゾウについて調べました。気付けば夢中でした。
ゾウは群れで暮らす仲間想いの優しい動物です。自分の子どもじゃなくても群れ全体で育て、旅の途中に仲間の死骸を見つけるとみんなで囲んで涙を流しながらお弔いをします。人間以上に情愛が深く、繋がりを大事にする生き物だなぁと感じたのです。私がゾウをモチーフにしているのは、そういったものへの憧れだと思います。描いている絵本も「一人でいるよりみんなでいるともっと楽しいね」という内容が多い気がします。

■新たな悩みも多いとか

ここ数年、依頼があって大きめのイベントの企画などを経験し、様々な業種や人々と“コラボ”をして作りあげることの楽しさを知りました。今はクリエイターとして「場や街づくり」にどう関わっていけるかということに興味関心が向いています。
ですが、不得意な事務作業に時間を割いてしまうことが多く、本来没頭しなければいけない制作時間が削られてしまっているのが悩みです。Accor de Hon!も一緒に絵やおはなし、音楽を楽しめるメンバーを増やしていきながら、それぞれの得意不得意を補い合って活動の輪を拡げていけたらいいなと思っています。メンバーは常に募集中です♪

最近の作品「思い出の足音」は靴職人ワニジイさんのもとにやってくるお客さんたちのお話。最後のページには赤いハイヒールを履いた20歳の青年。さりげにジェンダーを情愛をもって描いています。言葉のない絵には見る人の心の中で育った言葉が当てはまります。それを誰かと分かち合えば違いも共感も得られます。そんな仕掛けを宮本さんは絵本で作っていきたいのかもしれませんね。(武地)


◻プロフィール
1986年生まれ。大阪芸術大学美術学科版画コース卒業。同大学にて副手、大阪府立の高等学校にて講師を務めた。
水彩画家庭教師など美術教育関係の仕事を兼任しながら、オリジナルキャラクター「ハネゾウ」を中心にイラスト・絵本で作家活動中。音楽と絵本の融合ユニット「Accor de Hon !」(アコーデホン)代表。


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