ともも人物図 【歌手・音楽療法士 山崎 小夜子さん】歌で“世界を笑顔に”します! (188号)

ともも人物図 【歌手・音楽療法士 山崎 小夜子さん】歌で“世界を笑顔に”します! (188号)
ともも人物図
ともも人物図 【歌手・音楽療法士 山崎 小夜子さん】歌で“世界を笑顔に”します! (188号)

ともも人物図 【歌手・音楽療法士 山崎 小夜子さん】歌で“世界を笑顔に”します! (188号)

「世界中の人を笑顔にしたい」と、笑顔満面で語る言葉に力も魅力もある山崎小夜子さん。音楽療法やボイストレーニングを指導する傍ら、灘五郷の酒造り唄に魅了され、地域の伝統唄として広げたいと活動を始めています。

■「世界を笑顔に」を掲げたのは?

辛いことが山ほどありましたが、笑顔でいたので何とか私は生きてこれました。笑うことは誰でもできること、笑顔でいると自然に人は集まり仲良くなれます。私が助けられたように世界中の人が笑顔でいてほしいのです。

■コロナ禍でも歌の指導を?

公民館活動やデイサービスの歌の指導は続けました。自宅にこもっていると知らず知らず心身の不調をきたします。完璧なほどにシールドで区切り、私はマスクをして生徒さんと向き合わないように歌うのです。「感染が気になる方は来ないでください」と伝えても、「ここに来たら笑えるし元気がもらえる」とみなさん出席されました。
恐れるより笑う方が大事と思っていましたし、実際私が教えた方はだれも感染していません。コロナ禍では「芸術は悪だ」みたいに言われましたが、本当は芸術こそ、心身を元気にさせる必要なものだと思います。

■毎朝動画配信してる?

父が早くに脳梗塞で半身不随になったことから、母も体調が崩れ、私は大学卒業後すぐに両親の介護生活に入りました。父の会社が倒産し、明日の暮らしもどうなるか分からないほどでしたが、多くの方に助けていただいたのです。その恩返しに、歌を届けようと、毎朝6時40分にツイッターで「おはスコ動画」を配信することを決心したのです。
でも努力しても視聴者は伸びませんでした。あるとき音楽療法を行った難病のお子さんに向けて彼が好きだった曲をオルゴールに合わせて歌いました、それを聴いていた彼が笑ってくれたとお母さんから感謝のメッセージが送られて来たのです。それから、私は彼に笑顔で話しかけ歌いました。すると徐々に視聴者が増えてきたのです。目の前の一人に向ける心が伝わったのでしょうね。一日も欠かさず続けましたが、この7月で丸5年になります。得た学びも多く、区切りとして終わりにしようと決めました。

■酒造り唄との出会いは?

灘五郷の酒蔵のイベントで歌う仕事でした。酔っぱらいのおじさんの前で、やじられたりするのかと怖さがあったのですが、「あんた神の声や」と皆さん褒めてくださり大歓迎されました。
その折に酒造り唄を主催者様から聴かせていただいたのです。もっと知りたい歌いたいという気持ちが湧き上がり、丹波篠山の杜氏さんたちの稽古に押しかけ入れていただきました。
全員音程が違うし、譜面はない。西洋音楽を勉強した私にとっては訳が分からない状態でした。「あんたの声は酒造りの声ではない」と言われましたが、「蔵開きにおいで」と声を掛けていただき一緒に歌ううちに、次第に杜氏の仕事や気持ちに共感するようになりました。労働歌には祝いの唄だけでなく、仕事の辛さや仲間への思いやりも表現されています。生きるための唄と言っていいでしょうか、樽の上で命掛けで歌いながら作業をするのです。仲間との共感、和がなければ生きていけない。そういうことを唄に込めた日本の労働歌に出会えたことに、心から感謝しました。蔵の誇りである法被を今では着させていただいています。

■次世代に伝えたい!

埋もれた伝統芸や唄は誰かが伝えないと消えていきます。地域を支えた酒蔵に何百年も培われた心の唄です。そういう唄を子どもたちに伝えたい。それに、明るく「は~よいよい」と手拍子しながら大きな声で歌うと気持ちいいのです。公民館活動や小学校教育に取り入れてほしいです。
やりたいことがいっぱいあるという山崎さん。「皆と笑顔いっぱいに歌いたいし、酒造り唄を無形文化財に登録したい。第九の合唱のように、みんなで酒造り唄で新年を迎える街にしたい」と、目を輝かせて話してくれました。(武地)


◻プロフィール
西宮市出身。相愛大学音楽部声楽専攻。「世界を笑顔に」をテーマにオールジャンルの歌手。丹波流酒造り唄保存会メンバー、神戸学院大学付属高校の音楽指導など。施設や公民館など歌の指導にも活躍中。


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