ともも人物図 【KUON ODASHI LABORATORY 店主 石本 雅代さん】「ほねのおだし」で健康作りに役立ちたい(195号)

ともも人物図

◎KUON ODASHI LABORATORY 店主 石本 雅代さん

新甲子園商店街で「ほねのおだし」とコラーゲンスープを製造・販売しているKUON ODASHI LABORATORY(クオン・オダシ研究所)店主の石本雅代さん。「ほねのおだし」について伺ってみました。

■「ほねのおだし」って何?

「ほねのおだし」とは、牛・鶏・豚・魚・ジビエなどの動物の骨を長時間煮込んだスープのことで旨味出汁として、また身体に必要な栄養素として昔から世界中で活用されています。西洋では「ボーンブロス」と呼ばれており、ブイヨン、鶏ガラスープ、アラ汁などの相称です。ボーンブロスはじっくり煮ることで骨のタンパク質が分子化して溶け出し「アミノ酸」として摂取できることで様々な効果があるとされています。

■「ボーンブロス」と出会いは?

京都造形短期大学(現・京都芸術大学)で学び、卒業後は木工職人を経てWEBデザイナーとして活躍。神戸にあるアパレル会社のECサイト立ち上げが縁となり、同社に入社し、月に数回バイヤーとして韓国に通いました。その際に出会ったソルロンタンや参鶏湯などのスープにすっかり魅了されたことが切っ掛け。その時は「ボーンブロス」という概念があることにはまだたどり着いていませんでしたが、飲むと身体が喜ぶ感覚があり「日本でも食べられたらいいのに」と考えるようになりました。

■工房オープンの経緯は?

高校時代から愛読書は「あまから手帖」で食べることへの興味や執着が人一倍強かったので、いつかは食の分野で働きたいと夢見ていました。管理職になりストレスで体調を崩すなどした折に「せっかく必死に働くなら好きなことを形にしたい」と長年お世話になった会社を辞めることを決意。
韓国で食べたスープの店を出したらどうか?と調べている際に「ボーンブロス」という言葉に出会いました。ところが骨が手に入らない!スーパにも肉屋にも売っていない!ここでアパレル時代に培ったバイヤーの血が騒ぎました。
焼き肉屋、肉屋、牧場、大学など思い当たる場所すべてに連絡して熱意を伝え、日本では流通していない骨の入手ルートを確立。ただし、1回の取引数量が20㎏と大きいことが問題となり、工房を構えようと現住所での製造を開始しました。

■試作のときに苦労したことは?

骨を細かく切断することに苦労しました。骨を提供してくれることになっても大きくて鍋に入らないのです。またボーンブロスは骨髄や骨の断面から栄養素が溶け出るので細かく切断する方が良い。
日本では骨を活用する文化が無いため、切断できる設備や会社が整っていない現状にかなり苦労しました。現在は協力会社を見つけてお願いしていますが、特定の骨しか依頼できないなど問題点も残っています。この点はまだボーンブロスを普及するために解決したい課題の一つです。

■おススメの「ほねのおだし」は?

日本でも取り扱いが少ないダチョウの骨のボーンブロスです。ダチョウは少ない飼料で大きく成長し、将来の食料問題や環境問題の解決策としても注目されています。ダチョウは高タンパクで低カロリーの健康食として適しており、骨も大きくて太い。栄養価の高いブロスが引けるのでお客様にもおススメしています。

※今号の「まちの小道 KUON ODASHI LABORATORY」参照。
将来は各地に「ボーンブロス」を作る工場を作って製造ノウハウを伝え、地域ごとに発展させて「KUON(久遠)」ネットワークを作ることで、健康作りにも役立ちたいと話してくれました。(松田)


◻プロフィール
神戸市生まれ。アパレル系企業のバイヤーを経て、「クオン・オダシ研究所」をオープン。店内での購入の他に、オンラインショップでは全国から健康志向のユーザーが定期購入している。
西宮市網引町4-20 TEL0798-47-5151
https://www.kuonodashi.com/

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