ともも人物図 【NPO法人a little(ア・リトル) 代表 坂口 裕子さん】人生を楽しむ人<大きい人も 小さい人も>を増やす場所(194号)
産前産後やひとり親向けの家事サポートやつどい場作りを主に、気持ちをシェアできる仲間づくりをしながら地域課題などにも取り組んでいるNPO法人ア・リトル。この9月に拠点となるリトルハウスをオープンさせました。代表の坂口裕子さんにその原点など伺ってみました。
■市民活動歴が長い!
高校3年生のとき阪神大震災で被災。離れて暮らしていた母を探す中、西宮中央体育館でボランティアを始めたのを機に、障がい者の自立生活センターで介助の仕事やリユースを進めている「チャリティショップくるりん」でも働きました。18歳~30歳までは環境問題や安全な食品のこと、ジェンダーのことなど、様々な人権について活動を通して学びました。当時一緒に働いていた子育て中の女性が無所属で市議会議員に立候補し議員として活動したことも、政治と生活が繋がっているということを身近に感じた出来事でした。
■自分探し?
30歳手前で一旦すべてをやめて誰かのためじゃなくて自分がワクワクすることを探してみようと思いました。
そんな時に友人に誘われてヨガの体験に。今それを話してもなかなか信じてもらえませんが身体が硬く、翌日全身筋肉痛で動けない。さらに吐き気や眩暈にも襲われました。どれだけ自分の体のことを無視してきたのだろうと気づくことが出来た体験でした。それから毎日のように取り組み、半年後には自分のイメージ通りに動くようになり指導者として働くようになりました。
べてやめたと思っていた市民活動の仲間からも声がかかり仕事として形になり、これまでのつながりに生かされていると感じました。
■リトルへの道は?
出産後に仕事をスローペースにしていたタイミングで、友人から声をかけてもらい、子育て主婦のメンバーを集めるから皆で何かやろうということに。私以外のメンバーは結婚や出産を機に仕事を辞めて家庭を優先して生活をしていました。それぞれ「今したいこと」を出し合うと、もう一度社会とのつながりをもちたい、誰かとつながって何かしたい、主婦でありながらも社会に役立つことをしたい、産前産後のしんどさを分かち合いたいなど、思いが出てきます。一つひとつ夢を叶えていこうと言うことになり「ア・リトル」が生まれました。これまでフリーで活動してきた私にとって、仲間と活動するのが楽しく、さらに経験が役立つことが面白かったです。
また、私は小学3年生の頃からシングルファーザー家庭でした。父親は市民活動家で、学校給食や学童保育の充実のために活動していました。小さい頃は、夜は活動仲間のうちに預けられ、高学年になると父から預かったお金でお弁当やコンビニごはんを自宅で食べていました。だから、私は「家事サポート」が大切だと考え、法人の主力にしています。「あなたのために作った温かいご飯」を食べてもらいたいのです。
■基地ができましたね。
これまでは公民館などを借りて活動を続けてきましたが、そこに行けば誰かと話せる常設の拠点を持ちたいと考えていました。9年目にして、休眠預金を利用した助成金を受けることが決まり実現。しかし余分な予算はないので一軒家を借り、仲間とDIY。1階は子ども用品を扱うチャリティショップとカフェで、子ども連れからお年寄りまでふらりと寄れて、地域交流もできるように。2・3階はレンタルキッチンやレンタルスペースとして各種教室や会合に使ってもらえます。
このリトルハウスという器を利用して多様な人たちが自分らしく自由に表現が出来る、そのために休憩したり、エンパワーメントする場所に育てていきたいと思っています。
※3ページの「まちの小道 リトルハウス」参照。(武地)
◻プロフィール
西宮市生まれ・在住。介護福祉士、ヨガインストラクター、一男一女の4人家族。
「a little」を2015年に立ち上げ、2019年NPO法人設立(現在代表)。
西宮市田代町10-14 NPO法人ア・リトル https://lit.link/alittlenishinomiya