免疫を獲得させる遺伝子ワクチンの仕組み【西川医院 西川 宏信(日本外科学会 外科専門医)】(183号)
ヘルスコラム
コロナ禍を改善させる一手として、ワクチン接種が現実的になってきました。そのワクチンですが、今までにない新しい仕組みによるワクチンが今回使用されることになります。従来は、弱毒化したウィルスやその断片等を直接注射することで抗体を作っていたのですが、今回のワクチンはコロナウィルスが人の細胞に取り付く部分を作る遺伝子を直接注射するという画期的な方法です。
その遺伝子を注射すると、【1】人の細胞の中に入る【2】その細胞が「コロナウィルスの人に取り付く部分だけ」を作る【3】これに抗体ができる、というややこしい仕組みで免疫を獲得します。
もう一つは、【1】害の少ないウィルスの遺伝子にコロナウィルスの遺伝情報を組み込み、これを注射する【2】すると、コロナウィルスの体の一部を人の細胞が作る【3】これに抗体ができる、というこれもなんともややこしい仕組みで免疫が獲得されます。
従来のワクチンであれば製造に時間がかかってしまうのが、これらのワクチンは製造が比較的早くできるということで、今回いきなり主役になった訳です。
遺伝子の世界もここまで進んだとなると、遺伝子を使ったあらゆる治療が今後もどんどん出てくるんでしょう。すごい時代になったものだと思います。
内科・外科・皮膚科 西川医院 西川 宏信 (日本外科学会 外科専門医)
西宮市馬場町3-23 (阪神西宮駅から南3分・戎参道内・専用駐車場5台有)
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