ともも人物図 【つどい場「このゆびとまれ」代表 松本 文(あや)さん】住みやすい街への夢を追いかけて(187号)
3年前につどい場「このゆびとまれ」を開いた松本文さんは、みんなが幸せに地元で暮らせるようにと、「こんなことがあれば、楽しいだろうな」を介護職を活かして次々に実現させています。その温かな想いと行動力に目を見張るばかり。今回はその活動や思いを伺ってみました。
■認知症の方がイベントスタッフに?
「南甲子園ルンルン春めぐり」や「秋めぐり」は障がい者の事業所、地元のつどい場、社協と協力してコロナ禍に合わせた子どもから高齢者まで楽しめるものとして企画したイベントです。ここでのカフェスペースに認知症の方もスタッフとして参加していただきました。この方が「私はみなさんのことを覚えてないけれど、みなさんが下の名前で呼んで声をかけてくれるのが嬉しい」と言って前向きになりました。ここでの学びは大きく、認知症の方が意欲的になることを考えていきたいと思いました。
■つどい場カレンダーも?
デイサービスの無い日に行ける場所があれば、在宅で介護されているご家族も胸のうちを話せる場所があれば助かります。行きたいと思ったときに「どこで」つどい場をやっているのか、一目でわかるものがあればと、作りました。受け取った方のアイデアを活かしてバージョンアップを考えています。
■ご自宅をつどい場に?
私は若い頃から高齢者の介護施設で働いています。介護一筋で、施設だからできること、施設だからできないことなどを考えていました。あるとき、「住み開き」という言葉に出会いました。「住み開き」とは自宅の一部を開放して、セミパブリックな活動をすることですが、この言葉に背中を押されて「やってみよう」と思い、家を探し甲子園に引っ越しました。かなり無鉄砲ですが、夫や介護職の仲間が協力してくれて『つどい場・このゆびとまれ』を開くことができました。
■どのような場にしたかった?
施設ではできないことの一つ、「何かあったら、いつでもそこに行けばいい!」という場所にしたかったのです。子どもからお年寄りまで、障がいのある人も、認知症の方も、介護をする人も、子育てが疲れた人も、安心できる場に。始めた当時は食事を中心にして、古い着物をリメイクして小物や服をつくったり、それをみんなで教えたり教えられたりして、沢山の方に利用して頂きました。しかし、2年目からのコロナ禍で、食事をやめて週2回に。それでも「ここが好き」と、この日を心待ちにされている人たちが多いのです。安全対策をとって、お話したり、ピアノを弾いたり、片付けをしたり、小物を作ったり、普通の家のように寛いで頂いています。
■安心できるまちづくりが基本?
はい。最近はLINEによる「みやっこケアグループ」を立ち上げました。迷子や独り歩きのお年寄りなどを探す協力網として利用したり、様々な相談などもできるように。とにかく安心できる地元づくりを目指したもので、賛同してくれる人を求めています。
やって初めてわかることがあるという松本さん。4月からは子どもたちとお年寄りを繋ぐ土曜の食事サービスも始まります。
4月16日(土)は武庫女ステーションキャンバス内Lavy’sカフェで、14時から16時まで認知症の方がスタッフになるという企画も応援しているそう。「いいな」と思うことを、ためらわず皆に声をかけて実践する松本さんにエールを送ります。(武地)
◻プロフィール
1972年神戸市生まれ。介護士。7人家族(孫2人)、2019年4月つどい場このゆびとまれを開所。趣味は温泉、音楽を聴くこと。
●『つどい場・このゆびとまれ』 西宮市甲子園九番町1-19
◎開催日:毎週月・金(祝日でも開催)13:30~16:00 出入り自由◎参加費:200円◎連絡先:TEL090-3351-8149(松本)