ともも人物図 【こくさいひろば芦屋 代表 三宅  真理子さん】学び合い、まちづくりの視点から多文化共創(191号)

ともも人物図 【こくさいひろば芦屋 代表 三宅  真理子さん】学び合い、まちづくりの視点から多文化共創(191号)
ともも人物図
こくさいひろば芦屋 代表 三宅  真理子さん

こくさいひろば芦屋 代表 三宅  真理子さん

芦屋浜で、日本人と外国人とが一緒に学び合い、まちづくりを行うグループの代表を務める三宅真理子さん。共創という活動の取り組みを聞いてみました。

■芦屋浜で多文化共創?

芦屋浜にはパブリックスペースが本当にたくさんあり、緑豊かでビーチもあり、そうした魅力からも外国人にも人気があります。芦屋浜にある地域日本語教室に参加していたのですが、代表になって地域の方々との連携を新たに始めるなかで、教室のメンバーである外国人の方と一緒に地域の夏祭りや炊き出し、もちつき、ラジオ体操などに参加していくことで、自分たちの活動は、この地域のまちづくりにつながるのではと気づいてきました。

■外国人の活躍

外国人のメンバーと話していると、「私は~が得意です」、「~に貢献したい」という、リクエストがどんどん上がってきます。そこで地域の方々へ向けた料理教室を始めました。インドネシア、マレーシア、ロシアと続けるなかで、貢献への思いは中学生も同じで、いつも食事方法が美しいスペイン出身のエリダさんは、食べ方のレッスンを行いましたが好評でした。食事中は食べ物を見ずに相手の目を見てくださいというお話しは印象的でした。
次はエリダさんの企画で、フィリピンの中高生による食事方法のレッスンへと展開していきました。マダガスカルカフェやインドカフェも開催しました。ステレオタイプの文化ではなく、個人一人一人のもつ文化を学び合っています。

■活動を切り替えるきっかけはパリ?

多くの移民が集まるパリでの暮らしの経験からです。例えば、近所の人に、あなたの国の挨拶はなんていうのと、聞かれ、その次会ったら日本語で挨拶してくれました。ご近所の方がすぐに名前を覚えて「ボンジュール マリコ」と挨拶してくれたのも嬉しかったです。近所の集会所で一度、日本料理の一日講師を務める機会もつくっていだだきました。地域社会の一員であるという気持ちになれましたし、外国人にとって地域貢献の場づくりが大切だと思いました。
まず自分に興味をもってもらい、地域が好きになり、自分のアイデンティティが発揮できてはじめて、次にフランス語を学ぼうと思いました。その経験からも、教室での勉強の前に、その関係づくりを心がけています。

■共生ではなく共創

最近は、外国人の方々からいろいろなことを聞きたい、外国語を習いたいという学生がメンバーになってきました。外国人の小・中・高校生・大人と一緒に日本語や学校の勉強を行っていますが、一方的に教えるのではなく、学び合い、一緒にするということが大切。地域の方々に向けたレッスンやカフェは、外国人の方々がアイデンティティを発揮できる場所づくりです。
そこで新しい考え方に出会うことで共創につながり、新しいアイディアが生まれてきます。だから多文化共生ではなく、共創という言葉を使っています。「教える人―教えられる人」「支援する人ーされる人」という固定された関係ではそれが見えてこない気がします。

■まちづくりの受賞おめでとうございます

いろいろな文化を感じられることは、地域の魅力になっていくと思います。私たちもピクニックや、フランスのペタンクというスポーツや太極拳などのイベントを地域の方々と企画していますが、いつも共創を心がけています。
このまちづくりの取り組みで、会が一昨年、兵庫県知事賞や、昨年、第1回まちづくりアワード(国土交通大臣表彰)をいただき、励みになりました。ひとつひとつの市民活動が、内部に閉じることなく地域と連携したまちづくりの視点をもつ大切さを感じています。


◻プロフィール
テーブル・コーディネーターやパリでのアソシエーション活動の経験などを経て、2018年に地域日本語教室を開催していた「こくさいひろば芦屋」の代表になる。
★活動内容は「こくさいひろば芦屋」で検索してHPを参照。

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