アジア図書館 世界の縮図を実感できる場所(192号)

アジア図書館 世界の縮図を実感できる場所(192号)
とももセレクト

大阪市東淀川区にユニークな図書館がある。阪急京都線淡路駅から歩いてすぐの所にあるアジア図書館である。同じ大阪市内で青空週末図書館を運営する岡本マサヒロが訪問し、事務局長の坂口勝春さんからお話を伺ってみた。

◎◎事務局長の坂口勝春さん

◎◎事務局長の坂口勝春さん

〝本離れ、読書離れ〟が指摘されるようになって久しい。実際に町の本屋はどんどん閉店に追い込まれており、1999年に2万2千件あった書店は、2020年には約1万1千件と、この20年間で半分に減っている。しかしながらカフェなどの一角に本棚を置いてミニ図書館をつくろうという「まちライブラリー」の取り組みが全国に広がっているのも事実である。本はその価値を失ったのだろうか。こうした中、注目したいのがこの「アジア図書館」である。
1981年に産声をあげた「アジア図書館」の構想は、1970年の「アジア研究会」発足にまで遡ることができるという。市民の手によって設立されたこの図書館は、前史を含めると実に半世紀もの歴史を持つわけである。「欧米一辺倒ではダメ。私たちは隣国のアジア諸国にもっと目を向け、アジアのことを知り、そしてアジアの人たちと仲良くしていかなければならない。そのきっかけとなるのが本であり、図書館である」と坂口さんは語る。現在の日本社会は軍備拡大が進められようとし、きな臭い状況となりつつあるが、「アジア図書館」の存立は平和を希求する一人ひとりの市民の強い願いに支えられてきたといえる。
この図書館の特色は60万冊(うち20万冊が開架)あるその膨大な蔵書にある。館内に足を踏み入れてみると、「韓国・朝鮮」「中国」「東南アジア」「南アジア」など、地域ごとに小部屋があり、図書が分類されているのがわかる。
アジアだけでなく、ヨーロッパやアフリカのコーナーもある。そこは世界の縮図であるといってよいだろう。「迷路にはいるように未知の本と出会って欲しい」と坂口さん。まずは「アジア図書館」を実際に訪ねてみよう。そして、本の森に分け入り、アジア及び世界の多様さを味わってみてほしい。本のもつ面白さをいま一度感じ取れるはずである。(青空週末図書館 岡本マサヒロ)

◎アジア図書館

◎アジア図書館

◎アジア図書館

◎アジア図書館

アジア図書館

大阪市東淀川区淡路4-3-15 アイゼンビル2階 TEL 06-6321-1839 開館時間10:30〜18:30 月・祝休館 http://www.asian-library-osaka.org


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