矯正のお話【保田矯正歯科 保田好秀】(185号)
ヘルスコラム
先日、小学校4年生の男の子の相談に見えたお母さんが、実は近所の歯医者さんで、「歯型だけ採れば、歯並びがきれいになるよ!」と言われて、その勢いで矯正治療に進みそうになりましたと話してくださいました。いわゆるマウスピース型の矯正装置だと思います。現在の歯型を元にコンピュータが解析して、治療のためのマウスピースを何十個と提供してくれるものです。この装置が世の中に出た当初は、まだまだって感じでしたが、最近はずいぶんと改良されて、症例を選びさえすれば、良い装置だと思います。
さて、この患者さんですが、見せていただいた限りでは、口呼吸があり、上顎が狭い状態でした。私の認識では、マウスピース型の装置で歯を動かすことはできても、上顎を拡大する効果はない(検索しても関連する論文を見つけることができません!)ので、この児童の持つ不正咬合の根本的な問題を解決することはできません。となると、歯を並べても、舌の位置が悪く、きれいな歯列を維持することが難しいと思います。私どもでは、こういう患者さんはまず上顎全体を広げることで、鼻呼吸を獲得しやすくしてから、歯を並べます。そうすることで、その子が抱えているかも知れない睡眠の問題や社会性の問題を解決する可能性が高くなります。ただ単に歯を並べるだけが矯正治療ではないのです。
保田矯正歯科 保田好秀
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