ともも人物図 【藤井ファーム 代表 藤井 健太郎】40年前から無農薬・無化学肥料 西宮で野菜づくり(181号)

ともも人物図 【藤井ファーム 代表 藤井 健太郎】40年前から無農薬・無化学肥料 西宮で野菜づくり(181号)
ともも人物図

西宮市柏堂町。住宅地の中に広々とした畑が広がります。「以前はうちの親戚ぐらいで、このあたりはほとんど山と水田でした」と、腰を伸ばす藤井さん。現在の地で、40年前から無農薬・無化学肥料栽培多品目の野菜を作っています。

■無農薬で作るきっかけは?

私の病気です。農薬を使って農作業をすると体調が悪くなることから、一時は農業をやめようかと思ったのですが、農薬を使わずにできないかと思案し、様々な先達からの意見を聞いたり、勉強を始めました。
しかし、当初は、無農薬・無化学肥料での栽培で、本当に出来るのか半信半疑でした。最初は害虫に殆んど食べられてしまい、収穫が出来ませんでした。

藤井ファーム 代表 藤井 健太郎

藤井ファーム 代表 藤井 健太郎

■収入もなく?

しばらくはそうでした。それでも研究して作り続け、収穫が今までの半分以下、もっと少ないものでしたが、無農薬・無化学肥料で栽培した野菜が食べたいという消費者がおられ、虫食いであってもそれを良しとして定期で購入してくれたのです。そのおかげで、収入にもなり現在まで続けてこれました。

藤井ファームの畑

藤井ファームの畑

■土作りが大事?

喜んでくれると、もっと元気な野菜を作ろうと思いました。それには土づくりが大事で、引いた草から堆肥をつくり、土を耕し、その作った有機肥料だけをまぜんこんで、より良い土地を作り上げていきました。
幸い、ここは開発のときに夙川から水を引き込み、畝ごとにホースで流し潅水できるのです。風当たりが良すぎるのが難点なのですが、良質の野菜を朝採りで宅配できるようになりました。

■他の農家に勧めたそうですね。

私は自分で無農薬・無化学肥料でできることを示しました。ですから、西宮市内の農家にも無農薬栽培で野菜を作ってもらいたくて話をもっていったのですが、商品にはなりにくいと聞いてくれませんでした。
今は減農薬などで作られている農家も増えています、日本は農薬の基準値が甘いのです。ネオニコチノイドを含有する農薬は作物の葉に作用し、葉を食べた虫の神経を侵して駆除するというものです。含有量が国の基準値以下で安全とされていることから、使っている農家は多いのです。しかし、使わないほうがいい。種も除虫効果のある遺伝子組み換えや、農薬に強い種を許していますから、これからの日本の農業もよく考えていかねば。

日本の農業へのあり方にも苦慮する藤井さん。現在は、息子さん夫妻が父が作る安全・安心で美味しい野菜を、家計を圧迫しない価格で食べてほしいと「藤井ファーム」として市内のカフェなどに曜日を決めて直売所を設け、新鮮野菜を販売しています。
そして、藤井さんご自身は「コロナに負けない身体づくりは食べ物から。私も体が動くまでは野菜づくりを頑張ります」と、以前から続く宅配先に自らがトラックで野菜を届けておられました。(武地)


◻プロフィール
1941年西宮市生まれ。西宮市立西宮高校卒業。1976年から無農薬にチャレンジ現在も四季折々に60品目以上の野菜を栽培している。「藤井ファーム」を息子さん夫妻が立ち上げて直売している。
■藤井ファーム 西宮市柏堂町4-14付近 TEL0798-71-8003 Facebook:「藤井ファーム」で検索

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