借家の原状回復義務について(171号)
賃貸借契約が終了し、借家を明け渡そうとするとき、借主はどの範囲で原状回復義務を負うのでしょうか。 まず、賃貸借契約とは、借主が賃借物を使用し、その対価として賃料を支払う契約ですので、通常使用に伴う損耗の補修費用は、賃料によって当然賄われていると考えるべきです。
そこで、一般的には、通常使用に伴う損耗の場合(例えば、家具の設置による床のへこみなど)は、借主に原状回復義務はない、借主の故意過失に基づく損耗や通常使用を超える損耗の場合(例えば、壁紙の落書きなど)は、借主が原状回復義務を負うと考えられています。
具体的に検討する際には、国土交通省住宅局が作成する「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が参考になります。とはいえ、実際には、原状回復義務の範囲の判断は難しいことも多く、賃貸借契約において特約が付加されており、その効力が問題になることもあります。原状回復に関してお困りの際は、弁護士に相談してみてください。
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