ともも人物図 【工房ミモザ主宰/畠野郁夫・畠野美智代】第二の人生は縁を結ぶ ものづくり(172号)
鳴尾支所のすぐ近くに淡いグリーンの赤毛のアンをイメージしたという「工房ミモザ」。店舗には手作りの木工のおもちゃや、愛らしい刺繍の小物が並び、地域の人たちの憩いの場ともなっています。オープンして1年半、畠野ご夫妻の想いを伺ってみました。
■お二人は教師からの転身だとか。
夫/私は大阪の中学校の技術の教師で、美智代は小学校の教師でした。みんなとものづくりを楽しみたいという第二の人生を考えると65歳からでは遅すぎると思い、早期退職をして工房を開きました。期せずして、通りがかったこの土地が私の思い描いたとおりで、諦めると後悔しそうで、購入を決心しました。
震災から鳴尾に住んでいながら全く地域のことを知らず、ここが鳴尾支所やなるお会館の側で、隣に西宮能楽堂ができることさえ知りませんでした。 工房の壁には金槌やスケールなど様々な道具がきちんと整理して掛けられ、卓上ポール盤や卓上糸のこ盤などの機械があり、美智代さんのお部屋はミシンが置かれワークショップもできる大きなテーブルが設えてあります。
■立ち寄られる方が多いとか。
夫/木工や刺繍を習いにきて、人生の話をして帰られます。話し易いのでしょうかね(笑)。お話を聴いていると色々教えられることも多いのですよ。地域の老人会の手伝いなどをして親しくさせて頂いています。細やかなことですがそんなことから地域とつながっているという実感を得ています。「お互い様」という感じが好きですし嬉しいです。
■向かいの「紅茶文庫」の看板も?
夫・妻/マスターを見ていると自分の父や母と重なり、ついつい手を出してしまいます。結局、アリスの看板をつくったり、健康相談までおせっかいをしていますよ(笑)。
■教師という職業柄?
妻/そうかもしれません。学級崩壊しそうなクラスがあれば、なんとかしなければと頑張る熱血仕事人間でした。子どものためならと家には寝に帰るようなもの。主人もそうでしたらから、ふたりともボロボロになっていましたね。私が体調を壊して退職。仕事ができない不安が襲い辛い2年間でした。そんな折に近くの店主さんが心を掛けてくださって癒やされました。そういう経験があるので、私たちのできることで地域にお返ししていきたいと思っています。
■これからは?
夫/皆さんとのんびりとモノづくりを楽しみたいと思って工房を開いたのですが、嬉しいことに作った看板を見て注文が多くなって、てんてこ舞い。
妻/私はリースやアクセサリーなどにも挑戦しました。ワークショップの材料は自然のものを使いたいと思い野山から集めてきます。手を抜けない性分だから材料の準備だけで時間を要し、部屋中材料だらけになり夫に迷惑かけています。
夫/ふたりとも手を拡げすぎたと反省しています。これからは、私は木工、家内は刺繍と決めて、自分の作品づくりを楽しみながら、個人指導やスペースを提供して、工房として運営できるようにしていこうと思います。和して同ぜず。これでこそ地域のコミュニティの場になれると思うのです。
出会った方々とのご縁が広がる工房ミモザ。どうしても声を掛け、話し相手になってしまうお二人。きっと人と人をつなぎ、育てるお仕事が天命なのだと感じます。「愛情たっぷりの作品を自分の手でつくる楽しみをともにしたい」と話します。(武地)
工房ミモザ 西宮市鳴尾町3-6-19 TEL080-4023-7551
木工・手芸10:00~17:00(休み時間12:00〜13:00)月火休(FB「工房ミモザ」で検索)